叶鋼は午前1時に計算をする

電子工作と計算の記録

【社会】皆様の健康のために

「偉大なる兄弟があなたを見守っている」  

 

彼は巨大な顔をじいっと見上げた。四十年間かかって、あの黒い口髭の下に隠された微笑の意味がやっと分かったのだ。ああ、何というみじめで、不必要な誤解であったことか! ああ、愛情豊かな心に背いた、何という頑固、身勝手な離反であったことか! ジンの匂う涙が二滴、鼻筋の両側を伝っていった。しかしこれで良かったのだ、苦闘は終わりを告げたのである。彼はやっと自分に対して勝利を納めたのだった。彼は「偉大な兄弟」を愛していた。

ジョージオーウェル「1984年」より引用

私は皆様の健康と平和のことだけを望んで生きている。  

嘘ではない。本当である。

ただし、私の考えている健康と平和が、皆様の望む健康と平和と一致するとは限らないことを、あらかじめご了承のほどお願い申し上げます。  

さて、今回は私がいかに皆様の健康を願っているかについて述べたいと思う。  

 

私の考える健康とは、個人の体重、血中酸素濃度、心拍数、運動量、睡眠時間、病歴、生活習慣、行動範囲、遺伝子情報を第三者が収集し、それを統計データとして利用することで、個人にアドバイスを与え、管理することである。  

個人データの利用により、平生から身体の健康を維持して体調不良を改善することが可能となり、病気の予防を徹底させる。 これにより個人は健康的な生活を謳歌し、国は医療費を削減することができる。  

病気になっても病院にかかるお金のない発展途上国の人々にとって、病気の予防は死活問題である。

病気になれば医者にもかかれずに死ぬしかない哀れな人々の何と多いことか。個人データの利用は彼らを救う。  

全ての人々に厚い保護を与える先進国にとって、医療費の削減は国の命運を左右する死活問題である。

既に多くの国で「高福祉、低負担」の維持は絶望的になっている。これから先は「中福祉、中負担」を妥協して目指すことになるはずだ。

簡単に言えば医療の質は低下し、それでも負担は増える。そうしなければ国の財政は破たんして、結局は国民が苦しむことになるからだ。

だが個人データの利用は、医療の質の低下を補う有効な手段となる。  

 

個人データの利用に対して、プライバシーの侵害、徹底した個人の管理と監視を行うディストピア社会として嫌う人もいるだろう。

しかしリスクなきメリットは存在せず、何かを得るためには何かを失わないといけない。

貧しき人々を助け、国と国民の未来を守ることが、ディストピア社会の危険性よりも重要であると私は判断した。  

もちろんプライバシー保護は重要であり、意図しない個人情報の流出は防がないといけない。現在は多くの企業が個人情報を野放図に扱いすぎている。

この点については高木浩光@自宅の日記が行っている啓蒙活動が大いに参考になる。

私のような人間の暴走を防ぐためにも、対抗勢力は必要であり、私はプライバシー保護活動を応援する。彼らにおかれては、是非とも常に私たちのすることを監視していただきたい。  

 

個人情報の保護は今後ますます重視され、重要な課題となる。

これは世界的な潮流であり、今はプライバシーの概念のない発展途上国も10年遅れで欧米に追随していくだろう。

この流れを無視することはできない。

しかし、その一方で人々はますます多くの個人情報を意図的にも、意図せずとも世界に放出するようになる。  

これらの情報をいかにして保護するかは、喫緊の課題だ。

しかし私にとっては、これらの情報をいかにして効率的に回収し、利用するかが喫緊の課題なのである。

この矛盾する課題をどのようにして両立させるかは頭の痛い問題である。考えても答えはなかなか出ない。

そこで私は考えるのを止めた。

正確に言えば基準を自分で作るのを止めた。私は外部の基準に従うことにしたのだ。その時点で法的に許容されているギリギリ限界の境界で私は活動する。  

とにかく私は個人情報を徹底的に利用するのを目指すことにした。私は余計なことは考えずに邁進する。そして実際に邁進してきて、その結果が成果を上げつつある。

一方でこれらの情報を徹底的に保護することを目指す人々がいる。彼らが法や規則を改定すれば、私はもちろんそれに従い、新しい基準ギリギリの境界上での活動を再開する。

この両者がせめぎあえば、結果的に一番均衡のとれた最良の状態で安定すると私は確信している。

私は私の道を行き、他人は他人の道を行き、互いの道がぶつかって、競い合い、いがみあい、罵りあい、呪いあい、殴りあった末に最良の道が作られると私は信じている。  

優秀な敵は、優秀な味方よりも頼もしい存在だ。私はより多くの敵が私の眼前に立ちふさがることを心待ちにしている。

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