叶鋼は午前1時に計算をする

電子工作と計算の記録

私は左翼なれど、今回の選挙では自民党を支持するものなり

真に恐れるべきは有能な敵ではなく無能な味方である

ナポレオン・ボナパルト

私は自民党が嫌いだ。自民党は私の敵である。

何故なら私は左翼だからだ。

(左翼の定義にも色々あるが、「福祉国家政策を重視」し、「個人の人権の尊重」している人を私は左翼と認識する。)

 

そんな左翼である私から見て、昨今の自民党の歴史に関する妄言は聞くに堪えない。

私の敵は基本的な勉強もしていないくせに、なぜか自分は歴史問題について文句を言う資格があると信じている。

 

いつか自民党の連中には妄言の報いを受けさせよう。

「今マデ虚仮ニシクレタ政治家ノ皆様。今ニ見テヲレデ御座イマスヨ」である。

 

だが、その前に私は身内の妄言を批判しなくてはいけない。

その人間が公正な人物であるかどうかは、仲間が失態を演じたときに、それを批判できるかどうかで分かる。

不公正な人物は、敵の失態は些細なものでも「信じられない卑劣漢」「このような人物を許していいのか」などと烈火のごとく批判するのに、味方の失態に対しては「批判者は心が狭く不寛容だ」「彼だけが悪いわけではない」と擁護する。

私は自分が公正でありたいので、私の仲間のことを批難する。

 

私の仲間の多くが安倍首相の行った金融政策の意味を理解していないのが痛々しい。

マクロ経済学の簡単な入門書くらい読めば、思想の左右に関係なく、デフレを終わらせることの重要性を理解できるはずだ。

金融緩和が所得に対する課税と同じ意味であり、金持ちの資産を減らし、その差額を庶民に還元する手段であることは教科書的事実だ。

 

そしてリフレーション政策の提案者であるポール・クルーグマン氏の著作を読めば、この大胆な金融緩和が理にかなった手段であることを納得し、応援する気になるはずだ。

デフレという怪物が、どれだけ多くの人を苦しめてきたかは知れば知るほど胸が痛む。

この巨大な怪物を倒す方法を自ら実践することは、日本だけの得になるのではなく、同様の症状で苦しむユーロや世界各国の範となる。これは真に世界平和に貢献する尊い行為である。

確かにそれは失敗するかもしれない。

それでも他にどのような選択肢があるだろうか?

 

もし金融緩和なしに増税だけをしていれば、日本は最悪な状況になっていただろう。

私は左翼なので財政を改善して、社会福祉を維持するために増税するには賛成だ。いつか誰かがやらなくてはいけないことだ。

だから、1回目の増税には賛成だった。

それが景気に悪影響を与えることは自明だったが、それでもあれだけの大規模金融緩和との組み合わせならば、被害を最小限に抑えられると読んでいた。

しかし、現実は私の予想を上回った。私が思うよりも消費は回復しなかった。

ならば残念だが次の増税は延期すべきだ。今は何よりもデフレ脱却が最優先事項だ。

現在でも私は増税による財政再建には賛成だが、今回はまだその時期でないことを認めるくらいの理解力は持っている。

 

日本の社会福祉は危機的な状況にある。今より負担を増やしても、今と同様のサービスを維持するのは不可能だ。

今の日本に求められるのは、景気回復と財政再建のバランスを綱渡りのように取ることができる政権だ。

 

「金持ちや大企業から税金を取れば増税は不要だ」と唱える連中は、ただの脳内お花畑人間なので、問題外である。

あんなのは左翼でも何でもなく、ただの酔っ払いだ。仲間と呼ぶのもおぞましい。

自分たちの何が間違っているか自分で理解できない彼らには、説明しても無駄だろうからここには書かない。

そもそも、その法外な主張を立証する責任は彼らにあるので、私が説明してやる義理もない。

彼らには総括あるのみだ。

 

民主党は「官僚の既得権益を削れば良い」「無駄をなくせば財政再建する」という嘘で国民を騙して、時間を浪費して事態を悪化させ、未だにそのことを反省も謝罪もしていないので、まったく信用できない。

 

景気回復に有効と思われる手段を採用しつつ、財政再建の道も模索している。

そのような均衡の取れた政策を採用しているのは、今のところ自民党だけだ。

ならば、どれだけ嫌いな連中であっても、彼らを支持する以外の選択はない。

 

私の仲間は基本的な勉強もしていないくせに、なぜか自分は経済政策について文句を言う資格があると信じている。

その挙句に、「アベノミクスでは金持ちしか得をしない」「株主や資本家や大企業だけを優遇している」などと妄言をばらまく。

そのような見識しか持ち合わせない不勉強さで経済政策を批判し、弱者の味方のつもりでいるとは、見ているこちらが恥ずかしくなる。

あんな連中が同じ思想に属する味方だと思うと、心底うんざりする。

 

結局、自分に都合の良いものしか見たくないというのが人間だ。

左翼の一部(大部分?)はアベノミクスが成功してもらっては困るのだ。

敵のおかげで日本が幸福になってもらっては困るのだ。

だからアベノミクスの失敗を願い、日本人の不幸を願い、強弁を重ねてアベノミクスを批判する。

私は大嫌いなはずの自民党の人に向かって、「こちらの身内が妄言で迷惑をおかけして、誠に申し訳ありません」と謝罪したくなる。

もちろん私ごときに左翼を代表して謝罪する権利などないことは百も承知だ。

  

現在、弱い立場の労働者や若者を使い捨てにしてきた企業が赤字に陥っている。

それは何故か?私たちの活動が功を奏したからだろうか?

答えは否。

アベノミクスで賃金や有効求人倍率が増加し、それらの企業はたちまち人手不足になったからだ。

 

現在、年金財政が改善し、貧しい人々にも福祉の恩恵が届きそうな光明が見えている。

それは何故か?私たちが悪い官僚や悪徳資本家を懲らしめたからだろうか?

答えは否。

アベノミクスで株価が上昇し、年金の運用状況が改善したからだ。

 

将来、デフレが終わり、金持ちの実質資産は目減りし、その恩恵が庶民に還元される可能性がある。

それは何故か?私たちの革命が成就したからだろうか?

答えは否。

大胆な金融緩和だけが、デフレを終わらせうる最後の希望だからだ。

それは悲しいことに失敗する可能性も十分にある。

だが、わずかな可能性にかけて努力しているのは、アベノミクスだけなのだ。

 

敵のことを、これだけ褒めないといけない私の絶望があなた方に分かるだろうか?

それでも、認めるべきことは、認めないといけない。

 

私たちは経済を学び、福祉を学び、軍事を学び、科学を理解しないといけない。

間違った思想に基づいた科学は間違っているとした、ルイセンコの悲劇を繰り返してはいけない。

 

敵が良いことをするはずがないという思い込みを捨てなくては私たち左翼に未来はない。

敵の行いでも、良いことは認め、模倣しなくては私たち左翼の存在価値はない。

今の私たちは、日本の明るい未来を呪い、それを全力で妨害しようとする魍魎だ。

 

次の選挙で「自民党に投票するな」と言うのは、「日本人は地獄へ落ちてください」とお願いするに等しい。

私は嫌いな連中をこらしめるためならば、他人が地獄に落ちても良いと思えるほど図々しくはない。

 

私は善人に導かれて地獄に行くよりは、悪人の運転する車に乗って繁栄した未来に行きたい。

もし善人と一緒に地獄に行かないことを悪徳と責める人がいれば、「あなたの自己満足につきあって心中するつもりはない」と答えよう。

他人を不幸にしてでも貫くべき正義などはないと私は信じている。

 

だから私は血の涙を流しながら私の仲間に訴える。

「次の選挙では、自民党に投票しろ」と。