叶鋼は午前1時に計算をする

電子工作と計算の記録

【社会】お金を稼ぐことよりも、お金を上手に使うことの方が難しい

富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しくなる

マタイの法則

金持ちになれる人は大勢いるが、お金を有効に使用できる人は少ない。

ちなみに、ここで言う金持ちとは資産10億円以上の人のことを想定しているが、数千万円程度の小金持ちの人についても同じことが言える。

小金持ちになれる人は大勢いるが、小金を有効に使用できる人は少ない。   

偉業をなしとげ、困難を乗り越え、立身出世して、大金持ちになった人物が、お金を使う段になると途端に醜態をさらすというのは、よくある話である。  

彼らは金持ちになることが目標で、お金をどう使うかについては大した考えを持っていない。

金持ちになった時点で、自分は成功したひとかどの者であると自負し、それで十分だと満足してしまう。  

だが、実のところ、本当の試練は金持ちになった時から始まる。

何故なら、お金を稼ぐことよりも、お金を上手に使うことの方が遥かに難しいからだ。  

 

お金を使う能のない人に十億円程度の大金を渡してみれば、それはすぐに分かる。

彼らはあれほど憧れていた大金を手にして、それをどう使えばいいか持て余す。  

自分の家や会社を悪趣味な内装で飾り、乗りこなせないスポーツカーを買い、十年後には無価値になる珍品を買い漁り、忠誠心の無い使用人を雇い、つまらない女に貢ぐ。  

彼らは、運転手つきの車に乗るとか、高級レストランで毎日食事をするとか、一泊五十万円のホテルに泊まるとか、貧乏人の考える金持ちのイメージをそのままマネしたような行動を取る。  

 

彼らは貨幣の機能の一つである「交換手段」をとにかく使おうとしているのだ。

しかし、一個人が欲しいと思える物などたかがしれている。ほんの三億円程度使えば、もはや交換したい物などほとんど残っていないだろう。

それでも無理にお金を何かと交換をしようとすれば、すぐにどうでもいい物とばかり交換を始めるようになる。  

 

もしくは自分に金を使う能がないと自覚している人は、貯蓄に励む。 

これは親の遺産を引き継いだ人に多いパターンだ。彼らは資産の維持管理と拡大に義務感を持ち、お金を使うことに罪悪感さえ持っている。

確かに貯蓄性もまた貨幣の重要な機能の一つである。

しかし「貯蓄」しか利用しないのでは、お金を使いこなしているとは言えない。

動かないお金は何も生み出さないからだ。現代のお金は、その内実はただの紙やデジタルデータでしかない。

その無価値なものが、人の手から手へ渡ると、生命を帯び、魂を持つ。お金は使ってこそ生きる。

貯蓄しかしない人間など、大量の死体を埋めた墓地の管理人でしかない。  

 

もちろん貯蓄された貨幣は、銀行や投資信託の手に渡り、別の誰かによって投資手段として利用されているので動いていないわけではない。

しかし現在の投資はお金でお金を生むことにばかり特化しており、最初に言った「増やすのは簡単だが、有効利用するのは難しい」の典型例になっている。  

 

では、お金を有効に使うとは何だろうか?

正直に言って、私に答えはない。それが容易に分からないからこそ、難しいのだ。

稼ぐのは、達成基準が明確だ。金額が大きければ大きいほど良い。それだけだ。

一方で、何をもって有効利用とするかに、共通の基準はない。  

 

だがそれでも、ここまで話を広げた以上、何らかの回答例ぐらいは提示しておきたい。

お金を別の力に変換する能力が高い。私はそれがお金を有効利用することだと考えている。  

 

「お金があれば何でもできる」というのが嘘であることは、いまどき小学生でも知っている。

宗教的信念に燃える人物があなたを異端者として殺そうとしている時、彼に大金を積んでも意味がないだろう。

自分を蛇蝎のごとく嫌っている人間に、どれだけの大金を投じても忠誠心は得られないだろう。

過去の失敗は、お金では解決できない。

死んだ人間はお金では生き返らない。

お金で出来ないことを考えれば、百個でも千個でも思いつく。

お金という道具は、存外使い勝手の悪いものなのだ。  

 

この世において財力だけで実現できることは少ない。権力、暴力、技術力、魅力、●●力、××力、、、、、この世には多種多様な力が存在し、どれだけ強力な財力も、ある種の力の前には無力であったりする。  

しかし、それでもお金を有効に使える人間は、自分の財力を別の力に変換することができる。

彼の手にかかれば、財力は権力になり、暴力になり、技術力になり、魅力になり、●●力になり、××力になる。  

彼ならば、自分の命を狙う狂信の徒を改宗させ、自分を狂信する人間に作り変えることができる。

彼ならば、敵対者を自分の忠実なしもべにすることができる。

彼ならば、過去の失敗をなかったことにできる。

彼ならば、死んだ人間を蘇らせることができる。

彼ならば、できるのだ。